天気:雨のち晴れ、気温:24℃、湿度:85%、路面温度:23℃
F1RCGP2009、第5戦目は関東地方の千葉県に場所を戻し、最後の千葉ラウンドとなりました。この最終千葉ラウンドの後、第6戦より
北関東の群馬に上り、静岡・掛川を巡り東海を南下していく後半戦へと続いて行きます。最終千葉ラウンドの地は、歴史のあるピットインRCスタジアムです。
千葉県君津市外箕輪(そとみのわ)に現店舗を構えるホビーショップPIT-INが管理・運営するサーキットです。ホビーショップPIT-INのオープンは
1978年に遡ります。当初、木更津市に店舗を構えていた同店は、1984年、君津市外箕輪に移転。バギーコースも新たにオープンさせるなど、営業を
拡大し、1993年に今度はオンロードコースに切り替えます。その後、1997年、2000年と2回に及ぶコースレイアウト改修を経、現在の廣坂 正明氏考案
のコースレイアウトに至ります。非常に歴史、所縁のある店舗は31周年、本コースは16周年を迎えます。老舗店らしく、店長さんを始め、スタッフ
総出で、いつもお客さんを暖かく迎えてくれます。
コースサイドには、室内のピットエリアや、屋外ではありますが屋根付のピットエリアも完備。また、近所にはホームセンター、飲食店なども軒を連ね、
非常に快適に過ごす事ができます。コースの方は、1周約110m、24mのバックストレートに加え、15mのホームストレートを持ち、路面は中粒のやや手前に
傾斜の付いたアスファルト舗装。傾斜の分、左右手前のコーナーは逆バンクとなります。廣坂氏考案の幾通りにも変更可能なトラックエリアは、今回
F1RCGP用の特別レイアウトに変更されました。
参加人数は、F-1クラス:11名、F-1グランプリクラス:9チーム14名、合計25名です。大会当日はあいにくの雨にも関わらず、多くの方に参加して
頂きました。F-1グランプリクラスの選手の中には、既に数戦の雨天路面を経験されている方も見られ、粛々と雨天セットを施す冷静沈着さがありました。
今大会からの新加入チームに、地元ピットインRCスタジアム サーキットの常連さんから成るチーム、石川軍団が参戦。大いに会場を沸かせて頂きました。また、
今大会の見所として、Alex Racingの上林選手の2連勝を、地元RUSHの石川、佐藤選手や袖スタの松本選手が阻むか?Team 番長の三浦選手のマシンアップデート
はどれだけの戦闘力を発揮するか?と言う事も挙げられます。また、熟成の進みつつあるTeam Tech F-1のF125BRは初めての外のコースで、
路面グリップのミュー変化の対応にも興味深々。そして、何よりPIT-IN Racing Teamの水越選手がHOMEの期待を背にポイントを奪取できるかが
ポイントです。
プラクティスDay
前日のプラクティスDayはまさにラジコン日和の好天に恵まれ、朝から多くの選手がマシンを調整していました。トップタイムは
PIT-IN Racing Teamの水越選手。HOMEの利点を生かし、鋭いライン取りで11秒7〜9のタイムを連発する快走を披露。現在ポイントリーダー
であるAlex Racingの上林選手は、F103 ZENコンバージョンの煮詰めも最終段階で、特に大きいアップデートは無いまま、11秒後半まで
タイムを伸ばしてきています。上林選手の走りも流石ですが、Alex Racingがどの様な状況下でも安定したタイムを出す事が出来る裏には、
強力なチーム体制があるのです。同僚兼チーム監督の加々山選手が献身的なテストをこなし、エースの上林選手にフィードバックしている
ので、非常に効率よくセットアップが進むのです。ちなみに、このプラクティスDayが加々山選手のお誕生日。ピットエリアの周りの
皆さんでミニ誕生日会を行いました。
関西より遥々参戦のTeam Tech F-1の田村選手と蟻塚選手は、外の比較的グリップの低い状況で苦戦を強いられます。F125のオプションパーツ
のテストメニューを淡々とこなす中で、徐々に問題は解決方向に向かった様ですが、あともう一歩タイムが伸び悩みます。Futaba F-1 Racingの
森田選手は今回Tech F125BRをこの日初めてシェイクダウン。Futaba F-1 Racing Teamカーのアップデートに向けての最初の試みでしたが、全く
のノーマル標準セットで、本家Team Tech F-1を凌ぐタイムを出す事に成功。その後、Team Tech F-1、Futaba F-1 Racing同士でディスカッション
を行い、今後の方向性などでアイデアを出し合いました。こうしてレースウィークを活用して各社どんどん開発が進むと言う、実車F−1さながら
の様相を呈しています。
プラクティスDay、最後に好タイムを出したのは、Team 番長の三浦選手。同1stドライバーの由留木選手は今大会は忙しく欠席でしたが、
2ndドライバー三浦選手が車をHPIのニューマシンにアップデートしてきており、大変注目を浴びていました。フォーミュラTENと言う名の
F-1マシンは、F103に比べてロングホイールベース仕様。直線が伸び、コーナーではキレのある動きを見せており、こちらも11秒台に迫る
勢いでした。まだホビーショーでお披露目して間もない生まれたてのマシンなので、今後必ず更なる進化が見られる事でしょう。
大会当日
当日の早朝は曇りで、まだ路面が濡れていなかったのですが、8時を回ると空からポツポツと雨が降りはじめ、一面ウェット路面
となりました。昨日は皆ドライセットを出していただけに、ウェット路面への即座の切り替えが要求されます。ゴムタイヤでは、リアに
TRG、フロントにライドを履くと良いそうです。また、田宮のキャップドタイヤも安定したグリップを発揮していました。一方、ボンド
組ではSuperXを塗る選手が多く見られました。走行の度に少し減るのですが、こちらも良く曲がりしっかりとしたグリップを発揮し
ていました。F-1クラスの選手は、グランプリクラスのセッティングや、メカ防水方法などを見よう見まねで行い、車のポテンシャルを的確に
上げてきている様子。皆少ない朝の練習走行タイムで、どれだけ雨仕様の引出しを増やせるかが勝負の行方を大きく左右します。
競技委員長からウェット宣言が発令され、雨脚が変わりやすく路面状況も毎ラウンド安定しないだろうと言う判断から、3ラウンド中2ラウンド有効
のポイントレースでレースが行われると言う事で、いよいよレースが始まります。
予選1ラウンド目
F-1クラス予選1ラウンド目、中山選手が雨の中、終始安定したタイムで走行し、ラウンドトップタイムの16L4:04.992。ベストラップは14秒553と、ドライ路面より
も1.5秒ほど落ちるものの、ウェット路面では素晴らしいタイム。2位は高橋選手ですが、16L4:11.377で、6秒程のタイム差があります。
3位の櫻尾選手とのギャップも更に10秒程あり、まだしっかりと走り切れていない選手が多くいると言った状況。途中までこのラウンドベストの
快走をして、14秒096のラップを出しながら走行中のブラウンGPカラーのDavid選手は、10周を回った所で電機系のトラブルが発生。残念ながら
ストップとなり、波乱含みの幕開けとなりました。
F-1グランプリクラス、予選1ラウンド目を超圧倒的な差で征したのは、Alex Racing 上林選手。2位との差は2周、タイム差は約16秒を付け、
19L4:12.698、ベストラップは13秒074と言うウェット路面では驚異のスーパータイム。2位は殆どのラップを14秒前半で纏め上げた、雨の八島こと、
ZENの八島定明選手で17L4:01.993。3位はTeam Tech F-1の田村選手。雨の路面でTechのF125は非常に良い動きを見せ、安定したコーナーリング
を見せました。ロールが少なく無駄のない荷重移動が雨の中では抜群の性能を発揮する様です。
予選2ラウンド目
予選2ラウンド目に掛けての路面コンディションは雨が小康状態。やや小降りのまま続いた事から、全体のタイムが落ちはじめます。ウェット路面は
ヘビーウェットの方がタイヤのチョイスが簡単で、普通にゴムタイヤを付けただけでしっかりグリップします。すなわち、タイムも出やすい様です。
F-1クラスでは、櫻尾選手が果敢な攻めを見せ、このラウンド唯一の16周をマーク。16L4:12.009で、ベストラップは15秒154!また、高橋選手も安定した
堅実な走りで2位をキープ。総合ポイントでトップに躍り出ます。
F-1グランプリクラスは、ここでもAlex Racing上林選手の快走が光りますが、それに待ったを掛けるべく、袖スタの松本選手がほぼパーフェクトな走りを
見せ、ラウンド2位のタイムを出します。上林選手は17L4:12.604、松本選手は16L4:13.890。僅か1秒あまりの差で、1ラウンド目程のアドバンテージは
上林選手には無くなっている様です。また、3番手にはPIT-IN Racing Teamの水越選手も追従します。HOMEサーキットであっても、雨のウェット路面
では少々いつもの力を発揮できないか。
予選3ラウンド目
予選3ラウンド目の前の昼休み、なんとすっかり雨が止み、路面が僅かに乾き始めます。ここで、ポイント制でもあるし、参加選手にはタイヤの選択の悩みを早めに解消
してもらおうと、運営側がウェット宣言解除に打って出ます。しかし、最終3ラウンド目が始まる直前、無情にもまた雨が降り始め、ウェット宣言が再び発令される事になりました。
最終予選3ラウンド目、F-1クラスでは、David選手が他車を寄せ付けない素晴らしい走りを披露。このラウンド唯一の16周、16L4:16.053で、一気にポイントを
稼ぎました。David選手のリア周りは、Yeah Racingの新型モーターマウントが装備されています。2位には振り向けばフェラーリ高橋選手、3位にはウィリアムズの川地選手
が浮上。
F-1グランプリクラスは、Futaba F-1 Racing Teamの森田選手が大活躍。18周に4人が入ると言う大接戦の中、18L4:10.283、ベストも13秒258で、それぞれ
ラウンドトップタイムをマーク。勝負強さが印象的でした。また、ZENの八島選手もラウンド2位のタイムで流石のタイム。18L4:11.672。ハーフウェットの路面
でも雨の八島、健在です。
総合では、F-1クラスのポールポジション争いに3名の選手が同ポイントで並びましたが、サードポイントの差で高橋選手が自身初のポールポジションを獲得。2位は
櫻尾選手、3位はDavid選手の順。F-1グランプリクラスでは、1,2ラウンドを獲ったAlex Racingの上林選手が2戦連続のポールポジションを獲得。2位はZENの八島
選手、3位は地元のRUSH石川選手です。
HPIのニューマシン、フォーミュラTENを持ち込んだTeam 番長の三浦選手は、度重なる路面コンディションの変化に翻弄され、
かなり苦労していた様でした。もちろんパーツ数もまだ少なく、やたらに壊せないのに加え、前日ドライコンディションのセットしか
データがない状況。更には相棒の由留木選手が今回欠場で、データ収集速度も一気にダウン。やる事全てが初めての試みの中で、やや
苦い経験をされた事でしょう。この経験を踏まえ、次回大きな躍進を期待します。F1RCGP、特にF-1グランプリクラスは、F-1コンストラクター
同士の総当り戦により結果が出てしまいます。速さ、操作性、スケール感、手軽さと言った、F-1に限らずこのラジコンの基本要素をどんどん
高める為のテストフィールドとして、この大会を活用して頂きたいものです。
■予選順位■
F-1クラス
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F-1グランプリクラス
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