天気:雨のち曇り、気温:18℃、湿度:60%、路面温度:19℃
F1RCGP2010のシーズンもいよいよ後半戦に突入してきました。今回の開催地は、埼玉県川越市にある、Speed Way Palの屋外オンロードサーキット
になります。Speed Way Palと言えば、言わずと知れた関東圏屈指のドリフトラジコンカーの聖地。多くのドリフトユーザーが週末のイベントに集まる一方、
グリップ派のレベルも高く、近年ではツーリングカーに加えてF-1ラジコンカーにも力を入れています。
サーキットのオープンは1997年5月、現在の場所からは数百メートル離れた所(現オフロードコース)で営業開始します。やがて、ドリフトブームの先駆けとなる塩ビ管
タイヤを2002年末に開発し、2003年からドリフト大ブームを築き上げます。その後、2006年8月に現在の場所に拡張移転が行われ、今では
オンロード・グリップコース屋内/屋外、オンロード・ドリフトコース、オフロードコース、クローラーコースの計5面を持つまでの規模に
成長を果たしています。ショップスタッフも、フレンドリー且つ、ラジコンに精通したメンバーで構成され、細やかなサービスまで十分
行き届いている様子です。エントリーユーザーからエキスパートまで幅広い層に支持されているのも特徴です。
今回の大会の舞台となる屋外オンロード・グリップコースは、中粒フラットアスファルトで、コース全長は約120mのミドルサイズの
サーキットになります。サーキットレイアウトの方は、コーススタッフによって綿密に考えられた構成になっており、中低速からスプ
ーン、S字まで多くのセッションが巧みに混ざり合い、長く走らせても全く飽きない様に工夫がなされています。
やや心配された天候は、土曜日は曇りながらも概ね晴れ、土曜日の夜には日曜日の朝方にかけて雨が降り、日曜日は曇りで雨は降っていない
ながらも路面はウェット状態でした。路面はウェットからドライへ、コースコンディション変化が非常に大きいとの委員長会議の判断で、
今シーズン初めてとなるウェット宣言+ポイント制のレース方式に切り替えられました。コースコンディションがこの様に大きく変化する
ことが見込まれる場合、もしベストタイム方式を採用すると、路面が完全に乾きだした最終ラウンド1回のみのタイムトライアルしか
意味を持たなくなります。できる限り皆が公平に何回かの予選チャンスが与えられるように、F1RCGPAによって競技運営がされています。
当日の参加人数は、F-1ローカルクラス:5名、F-1クラス:25名、F-1グランプリクラス:15名、合計45名のエントリー。第3戦BIG+3大会以来久々の
開催となったF-1ローカルクラスは、Speed Way Pal特別規定に基づき、PAL製F104用ゴムタイヤ+PAL製モーター装着が義務付けられ、実車に則したボディー
を装着し、まさに見ていても迫力が感じられるレースとなりました。F-1ラジコンの醍醐味を思う存分味わえる事間違いないでしょう。
注目のF-1グランプリクラスのポイント争いは、共にチーム拠点を名古屋に置くALEX RACING Winnersと、Team Bomberが他を一歩
引き離す格好で現在リードを保っています。No1ドライバーのALEX RACING Winners上林選手、Team Bomber加藤選手の直接対決と、それに
割って入る他チームのドライバーのバトルに注目です。ちなみにコンストラクターズポイントランキングは、1位:ALEX RACING Winners 126p、
2位:Team Bomber 72p、3位:ZEN 48p、ドライバーズポイントランキングでは、1位:上林選手(ALW)105p、2位:加藤選手(BOM)60p、3位:川野選手(BI3)43pに
なります。各チーム、各選手、共にシーズン途中の少ないテスト期間で効率良くマシンのモデファイを行い、シーズン後半戦からの巻き返しを図るべく
動いている様子です。
一方F-1クラスでは、ドリフトラジコン界のトップとも言うべき、新井選手が参戦。この日の為にグリップ走行に走行スタイルを戻し、多くの
F-1のテストメニューをこなして大会に臨んできている様です。また、JMRCA1/8エンジンバギーで大活躍中の、田中和哉選手もF1RCGPに
初登場!トップオフローダーの迫力ある走りが見れると言う事もあり、ギャラリーも一層盛り上がりを見せました。今後ドリフト界、F-1界、
そしてエンジンバギー界、同じラジコンでもスタイルが大分違うのですが、F1RCGP
を通して多くの交流がなされ、それぞれのラジコン業界が発展して行ければと思います。
プラクティスDay
天気は曇りですが、朝から多くの選手がサーキットに集まりテスト走行をしています。明日は午前中の雨が予想されているので、
ウェット用ゴムタイヤのテストもしたい所ですが、現在はドライコンディション。会場を見渡すと、第4戦のRC STADIUM袖ヶ浦で行われた
千葉大会参加の千葉をチーム拠点とする参加選手が多く来ています。Team袖スタからは第4戦F-1グランプリクラス優勝者の松本選手、そして、
松本選手と激戦を繰り広げた
RUSH石川選手、Futaba F-1 Racing森田選手、Team SONIC櫻尾選手、川地選手等々豪華メンバーです。そして、第2戦の谷田部アリーナで行われた
茨城大会以来の参戦となる、Team Castrol Lotusの土岐三冬選手、土岐啓太選手も訪れ、細かなセット出しに励んでいます。コースはフラットで
グリップが安定しているので、コーナーリングでいかにフロントタイヤで曲げて行けるセットにするかが重要との事。また、これに加えてシャーシ
ロールも含めてトータルのバランスも大事で、各選手それらに多くの試行錯誤を重ねています。
F104ベースのコンバージョンでは、F1RCGPの実践テストを繰り返し、完成度を増したZEN、Bomberそれぞれのコンバージョンキット。それぞれの
特徴としては、ZENコンバージョンはフロントグリップが高く、Bomberコンバージョンはリアグリップが高い傾向にあるようです。ZEN橋本選手の
マシンを見ると、フロントウィングがコンパクトにまとめられている一方で、Team Bomber加藤選手のマシンは大型化したものが装着されています。
どちらも一長一短ありながらも、高次元のバランスが光ります。加藤選手はこの日好タイムを連発し、12秒前半のタイムを多く刻んでいました。
ALEX RACING Winners上林選手も熟成が進んだF103 Fusionコンバージョンを駆り、同じく12秒前半タイムをマーク。RUSH石川選手もTRG109で前戦の勢い
そのままに好タイムをマークしています。F-1グランプリクラスの上位陣はかなり僅差でタイムが並び、明日の本戦では面白いレースが見れると
思われます。F-1クラス、F-1ローカルクラスのマシンでは、根岸選手、新井選手、吉田選手のマシンが快走を披露。それぞれここSpeed Way Palを
ホームコースとするベテラン揃いだけに、グリップ感も安定して良く、マシンセットアップも好調をキープしている様です。これに他県から参加の
遠征組みが交わり、どの様なレース展開になるのか非常に注目をしたい所です。タイム的には、F-1クラスで13秒前半、F-1ローカルクラスで14秒
前半と、F-1グランプリクラスのタイムから綺麗に等間隔で並んでいます。しかしながら、F-1クラス等ではタイムは気にせず、楽しくレースを
してもらう事が重要ですので、その辺りを中心にレースを見て行きましょう。
大会当日
大会当日は昨晩の雨の影響で、路面はウェット状態。しかし、レースは雨天決行という事で、タイムテーブル通り運営側は粛々と
スケジュールを進行していきます。先ず、朝の受付を終えた選手より、練習走行がスタート。まだコース上1/2のエリアが濡れている
中、各選手ゴムタイヤを履いての走行です。雨の予報も出ていた事もあり、多くの選手が事前に数種類のゴムのコンパウンドを準備して
きています。中には両面テープ、溝入キャップドに至るまで様々、非常にバリエーションに富む内容になっています。この時点ではTeam Tech F-1の
田村選手、蟻塚選手が同社のオリジナルラバータイヤで好タイムをマーク。それを見たTeam Bomber加藤選手も同タイヤをテストし、ウェット
とは思えない程の走りを披露。その後もグランプリクラスの選手を中心に続々と雨用セットが煮詰まり初め、情報がどんどん周りに伝わってきます。
その間、運営側はストレート等危険な個所をファンを使って排水作業を行い、朝のドライバーズミーティングが始まるまでには概ねドライコン
ディションにまで路面状態が回復しました。
ドライバーズミーティングでは、放送委員長の高橋氏の司会の下、競技委員長の吉倉氏よりウェット宣言及び予選レース方式をポイント制
(3ラウンド中、有効ポイント2ラウンドの合計)
にすると言う宣言がなされました。空を見るとまだ雲が厚く天候が変わりやすい事を考慮した結果になります。各クラス予選ラウンド1回りの
コンディション変化は極めて少なく、公正にポイントレースが進むと思われますが、途中雨がパラついたりした時のみは運という事で、各選手には了解し
ていただきました。
その後、レースルールの詳細等の説明があり、大会会長の挨拶を終え、いよいよレースが始まります。
この頃には路面はスポンジタイヤでも十分走れる路面となっています。朝から各選手ウェットからドライへと目まぐるしく変わるコンディション変化に
やや振り回された感はありますが、この先どの様な状態になるかは誰も分かりません。この第6戦は順当には行かなそうな、波乱を含んだ展開が予想されます。
予選1ラウンド目
F-1ローカルクラス予選1ラウンド目、このクラスは1周のタイムアタックで順位を競います。トップ争いはホワイト・オレンジ・ブルー
で塗り分けられた池上選手と、ホワイト・ブルー・ライトブルーで塗り分けられた関口選手との間で繰り広げられました。タイヤはパル製のハイグリップなキャップド
タイヤをコントロールタイヤとし、コーナーリングスピードも高いので見ていても非常に迫力とリアリティーがあります。このラウンドは上位2台が同じラップ14秒450
をマーク。池上選手と、関口選手が暫定1、2となりました。3位はルノーR30を駆る吉田選手が14秒600で0.150秒後方に付けます。
F-1クラスは、いつも通り4分間の周回レースのポイントで順位が争われます。5ヒート編成の先ずは1ヒート目、ウィリアムズを駆る大村選手は丁寧な走りでトップゴール
を決めます。まだ雨水が残っている中、セーブしながらの走りです。記録は17L4'04.740、ベストは13秒990。その後、路面は急激にグリップが回復し、濡れている
部分もほぼ無くなりました。3ヒート目で、シルバーアロー・マクラーレンを駆る根岸選手が快心の走るで、暫定ポールポジションタイムである18L4'02.630をマーク。
ベストは13秒310で、こちらも一番。空力パーツが非常にシンプルにパッケージされたマシンは、トータルバランスの良さを感じさせられます。このラウンド、総合
2位はグリーン・ホワイトのジャガーカラー新井選手18L4'06.920、ベスト13秒320。3位はライトブルーでカラーリングされたウィリアムズ、酒井選手18L4'07.340。
18周をマークしたのは総合8位のルノー大野選手18L4'13.860までとなります。しかし、ポイント制が採用されている為、タイムより順位が重視され、まだまだ
予断を許せない状況が続きます。
F-1グランプリクラス、予選1ラウンド目。先ずはポイントランキングトップを走るALEX RACING Winners上林選手が、グリップ感のある安定した走りで
19L4'03.820、ベスト12秒530でトップゴール。この所のFRF010は、ALEXチームの不断の努力とテストでぐんぐんパフォーマンスが上がっている様に
感じられます。大会前日のプラクティスDayも、夜遅くまで精力的にテストを重ねていました。続く、第2ヒートでは最近勢いに乗るRUSHの石川選手が、ゼッケン
3番のシングルナンバーに恥じない素晴らしい走行で、暫定ポールタイムとなる20L4'11.460をマーク。このラウンド唯一の20周で、ベストは12秒420。
RUSHのマシンはTRG109で、前回の第5戦ではこのマシンで袖スタの松本選手が優勝を飾るなど、非常に活気がある様に見えます。ストレートスピードも
RUSH系のパワーソースが際立っており、最後の一伸びがある感じでした。最終ヒートは、昨年のワールドチャンピオンチーム、Futaba F-1 Racing森田選手が
登場。オリジナルチューンが加えられたTech F125はアベレージラップが0.15内で上手く揃い、19L4'02.280、ベスト12秒610で総合暫定2位のタイムを残します。19周を
マークしたのは9位のTeam Tech F-1田村選手、19L4'12.540まで。非常にレベルの高い予選レースになりました。
予選2ラウンド目
F-1ローカルクラス予選2ラウンド目。ホワイト・ブルー・ライトブルーで塗り分けられた関口選手のF104が、序盤からハイペースで飛ばし、
最後の3周で14秒210をマークし、トップに浮上。2位は池上選手の14秒320、3位は蛍光イエローのルノーR30が鮮やかな、吉川選手が入りました。
2ラウンド目に入り、路面グリップも安定して高くなり、各車ロール量が増えてきています。セッティングを微妙に微調整しながらの予選レースとなるので、
経験値のさも効いてきます。ベテラン勢には有利な展開となるのでしょうか。
F-1クラスの予選2ラウンド目は、マルボロマクラーレンの稲葉選手が素晴らしい走りを披露。やはり1ラウンド目とセットを微妙に変更してきている
のか、マシンの挙動がシャープになり、コーナーリングが驚くほど速くなっていました。タイムは18L4'02.710、ベスト13秒120で、ポイントでも一気に上位に食い込みます。
続くヒートでは、ジャガーを駆るドリフトマスター新井選手が快心の走りで18L4'00.620、べスト13秒170のタイムをマーク。19周に一歩及ばないまでも、
他を圧倒するシャーシバランスと、集中力のあるドライビングを見せてくれました。Aメイン10人枠はポイント争いが混沌とする中、1/8エンジンバギーのスペシャリスト
田中選手も18L4'09.060で総合7番手に名を連ねます。この時点で18周に入っているのは、またも11位のルノーカラーの大野選手18L4'12.560までとなります。
F-1グランプリクラス予選2ラウンド目。このラウンドでは1ラウンド目残念ながらリタイヤに終わった、Team Bomber加藤選手が気合いの入った走りで、20周を
マークし、20L4'10.370、ベストは12秒300で一気に上位にジャンプアップ。BomberコンバージョンはここSpeed Way Palでも安定したリアグリップを見せ、
セッティングも決まっている様です。しかし、ポイントレースで1回目リタイヤですので、次のラウンドまで油断はできません。続くヒートでは、RUSH石川
選手がTeam Bomber加藤選手の出したタイムを超える、20L4'09.890をマーク。早くも20周シングルタイムを出し、ギャラリーからも驚きの声が。このラウンドでも
トップタイムを出し、1位を獲得したRUSH石川選手は、早々にポールポジションが確定しました。2位争いの有力候補は、Team Bomber加藤選手、Futaba F-1 Racing森田
選手、ALEX RACING Winners上林選手です。Futaba F-1 Racing森田選手はまだセッティングに迷いがある様で、19L4'00.020と、20周にギリギリ入れていません。続く
ラウンドに期待しましょう。
予選3ラウンド目
F-1ローカルクラス予選3ラウンド目、いよいよ最終ラウンドと言う事で、各選手緊張感のある中でスタートを待ちます。先ず飛び出したのは、ルノーR30
を駆る吉田選手。一発の速さには定評がある吉田選手は、5周目に14秒060と言うスーパーラップをマーク。周囲も驚くラップタイムで、ポールポジションに決定
しました。吉田選手のルノーは、ディテールまで非常に手が込んでおり、ベストルッキングカーの候補の1台でもありました。スタイル、速さ共に兼ね備えた
F-1ドライバーとして優れた素質を持っているドライバーです。2番手は惜しくも14秒090で池上選手。しかし、2ndベスト以降は吉田選手よりもタイムが安定して
いるので、決勝のチャンスは大いにあります。
F-1クラス予選3ラウンド目。このラウンドではポイント争いにも注目ですが、誰が19周に入るかも注目です。先ず、健闘したのはオレンジ・ホワイトで塗り分けられた
カラーが目立つ土岐森(とき しげる)選手、ヤングドライバーながら大人を圧倒するコーナーリングテクニックで、ぐんぐんペースアップ。18L4'02.110、ベスト
13秒240の好タイムをマーク。続くヒートでは、マクラーレン根岸選手が偉大な記録を打ち立てます。この時点で唯一の19周、19L4'13.160、ベスト13秒050で、暫定
ポールポジションへ浮上。しかし、最後に大逆転でポールポジションを獲得したのは、ジャガー新井選手!19L4'11.750、ベストは唯一の12秒台、12秒960をマーク。
グリップ感、コーナーリングの失速感の無さもパーフェクトに近い走りで、見事なドライビングでした!
F-1グランプリクラス予選3ラウンド目。このSpeed Way Palのコースは17.5モーターのスピード域に対して抜き所も少ないので、できるだけ上位グリッドを各選手
確保したいところ。ポールポジションはRUSH石川選手に確定しているので、石川選手はこのラウンド出走をキャンセル。2位争いに注目です。1ヒート目でいきなり
スーパーラップで走行するのが、Team Bomber加藤選手と、ALEX RACING Winnersの上林選手。グランプリクラスの実力を思う存分発揮しての、2人共20周の周回をマーク。
Team Bomber加藤選手は20L4'07.360、ベスト12秒150。ALEX RACING Winners上林選手は20L4'07.830、ベスト12秒210で、どちらとも2ラウンド目にRUSH石川選手の出した
記録を上回ります。続くヒートでは、Team Tech F-1の田村選手が、最終ヒートに向けてセッティングを大幅変更してきて、一気に好タイムを連発。19L4'02.980で、自己ベスト
を6秒28も上げてヒートトップゴールを果たします。最終ヒートでは、Futaba F-1 Racing森田選手が、ようやく20周に入り、20L4'12.650で、袖スタの松本選手に続く5人目の
20周突入記録者になりました。それぞれのクラスでは、ラウンドが進むに連れ着実にタイムアップをしている選手が目立ちます。決勝では更にレベルの高い走りが各メインで
展開される事でしょう。
■予選順位■
F-1ローカルクラス
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F-1クラス
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F-1グランプリクラス
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