天気:曇り時々雨、気温:27℃、湿度:72%、路面温度:26℃
F1RCGP2010第7戦はシリーズ初の東北ラウンド岩手大会です。梅雨時期とあって気候はどんよりと不安定ではありますが、岩手県奥州市水沢区にある
水沢ラジコンサーキットを舞台に、梅雨空も跳ね飛ばす程の熱いバトルが展開されました。水沢ラジコンサーキットは、水沢ラジコンが運営する、屋内オンロード
ハイグリップサーキットです。水沢ラジコンは1978年創業で今年で32年目を迎える歴史あるショップで、当初は同じ水沢区の森下に店舗を構え、1986年に飛行場を
オープン。その後2000年に同区車堂に移転、そして2003年現在の佐倉河に新装開店し今に至ります。現在のショップはまだ7年目で、木の香りが漂う新しい雰囲気を残す中、
従業員は岩城ファミリー2世代4名(忠郎さん、代子さん、忠幸さん、智美さん)で営業しています。得意ジャンルはラジコン全般。車等の地上物から、飛行機や
ヘリの空物まで幅広く精通しているスタッフが、お客さんに対して優しく丁寧にアドバイスしてくれます。また、サービスの一環としてラジコンでの空撮も行っている様です。
実機空撮よりも遥かに手軽にできるラジコンによる空撮を、一度皆さんも依頼してみては如何でしょうか。
サーキットの方は、元牛舎だった場所を改築し、ドーム型の屋内オンロードサーキットになっています。コース全長は120m、25mのバックストレートを持ち、
路面は細粒のフラットアスファルト。普段はグリップ剤を使い、1/12やツーリングカーが走り込んでいるサーキットだけに、グリップはF1RCGP史上最強のグリップで、
F-1でもハイサイド(ハンドルを切るとコーナーGで車が横転する事)する場面が多数見受けられます。この素晴らしいグリップ環境の下、他には類を見ない
ハイスピードコーナーリングバトルが展開される事でしょう。
参加人数は、F-1クラス:25名、F-1グランプリクラス:5チーム6名、合計31名です。今回はF-1グランプリクラスの参加人数が若干少ないながらも、
レベルは超ハイレベル。グランプリクラスらしい見る者を魅了する素晴らしいバトルが繰り広げられました。特にシリーズポイントで独走中のALEX RACING Winners上林
選手を追いかけるTeam Bomber加藤選手が、この岩手ラウンドで勝利を収めて後半戦のポイント差を縮めるかに期待が掛かりました。また、今回よりシリーズ初参戦に名乗りを
上げた水沢ラジコンのクラブチームが、グランプリクラスのレギュラードライバーにどう立ち向かうかにも注目です。前に開催されたラジコンマガジン企画のサーキット
破りでは、このクラブチームのドライバーが優勝したとの情報も入っています。チーム監督の岩城氏監修の下、2台態勢で臨む同チームは、作戦面でも有利に働きそうです。
一方、F-1クラスに関しても、レベルはグランプリクラスに負けていません。F-1を愛する多くの粒揃いのメンバーが県内外より集まり、僅差の大バトルが各所で展開され
ました。モーターなどのパワーソースを規制する事で、手軽に僅差のハイレベル走行が楽しめるのもF-1の大きな魅力。皆その楽しさを十二分に楽しんでいる様です。
プラクティスDay
前日の練習走行日の空は薄曇り。しかし、全天候型の屋内サーキットには雨の心配は無用。多くのエントラントが早朝より駆けつけ、練習走行を開始しています。
路面を見て先ず思うのは、表面の光沢です。グリップ剤が表面に付着しており、グリップレベルは常に最高です。遠征組にとっては、先ずそのグリップ力に驚いている
模様。いつものタイヤ径やセッティングでは、マシンはクイックなハンドリングを示し、気を許すと簡単にハイサイドしてしまう状況です。多くの参加者はタイヤ
セッターでタイヤ径を落とす事から始めている様です。(注:F1RCGPではタイヤセッターを持っていない選手でもタイヤ径調整をして頂ける様に、タイヤセッター
の貸し借りを促しています。タイヤセッター無しでもお気軽にご参加ください。また、その際は大会会長までお気軽にご相談ください。)地元の選手達はこの状況にも非常に
慣れており、一番ハイサイドしやすいストレートエンドのコーナーでも勢い良く駆け抜けていきます。話を伺うと、先ずセオリーとしてはフロントナックルをオフセットタイプに変え、
コーナーリング初期の反応を緩和する、次に車高は2〜3mmに調整して重心をできるだけ下げるのがポイントの様です。また、フロントスプリングを固くして弱アンダー
ステアが出るようにするのも手とか。コースサイドでは様々なセット変更の情報交換が行われ、徐々に各選手の走りも安定してきて好タイムが出始めています。
グランプリクラスではTeam Bomber加藤選手、ZEN橋本選手、TEAM SONIC櫻尾選手、Futaba F-1 Racing木村選手、そして地元の水沢ラジコンの鴨沢選手、青木選手
全員が揃い、9秒前半から中盤のタイムをコンスタントにマーク。中でも好調なのは、やはり水沢ラジコンの鴨沢選手、青木選手、Team Bomber加藤選手の3選手。9秒の
限りなく前半のタイムをマークしており、上位陣では8秒台までも狙っている様子。Team Bomberのマシン、Bomberコンバージョンは皆が手こずるスーパーハイグリップ
路面にかなりマッチしている様で、素晴らしいコーナーリングスピードと加速性能を発揮。コースサイドのギャラリーの視線も釘付け状態で、早くも多くの注目を浴びています。
そして、水沢ラジコンのチームはF103TRGコンバージョンを使用。慣れ親しんだコースレイアウトを限りなくミスの少ない安定した走行で常に走行していたのが印象
的でした。F-1クラスでも地元選手がやはり好調な様子。タイム的には10秒前半の選手が多く、中には9秒台に乗せてくる選手がいる感じです。各選手のタイム差は無く、
明日はいつになく接戦になりそうな予感がします。
大会当日
大会当日は千葉県や他の遠征組も集まり、朝から大賑わい。最近のF1RCGPには遠征選手が増え、主催者側といたしましても大変嬉しい限りです。
各選手受け付けを行い、コントロールタイヤが支給されると、直ぐにタイヤサンディングが始まりました。昨日の練習で得たベストセットのタイヤ径に
すべく、皆真剣な面持ちで径調整を行います。その後、レース前に最後のフリー走行時間が各選手に与えられます。昨日のセットの確認をしたり、今日が
初めての走行の選手もいたり、皆の目的は様々。操縦台は常にほぼ満席状態で、自分の立ち位置を確保するのも一苦労と言った感じです。F-1クラスの
選手では、及川選手、後藤選手が好調を見せ、グランプリクラスの車にも匹敵するコーナーリングスピードで走行を重ねています。F-1グランプリクラス
の選手は、各選手まだ様子見の走行が続く中、Team Bomber加藤選手が好調をキープ。優勝に期待が掛かります。一方、JMRCA電動オフロード全日本選手権
優勝経験者のFutaba F-1 Racing木村選手は、マシンのハイサイドを克服できずにやや不調の走行が続きます。レーススタートまでにセットを決めて挽回でき
るか心配される所です。練習走行の後は、記念撮影・ドライバーズミーティングが行われ、いよいよF1RCGP2010第7戦、レースがスタートします。
予選1ラウンド目
F-1クラス予選1ラウンド目、イエロー・ブルー・パープルに綺麗に塗り分けられたカラーの駿河選手が23周を早々とマーク。23L4'02.315、ベスト10秒351で
標準的タイムを記録し、皆の目標タイムになります。ヒートが進み、多くの選手が23周を記録して行きますが、何回かのミスによりタイムロスをしてしまい、23周の
壁がをなかなか越える事ができません。1周10秒前半でタイムを刻めば24周も見えてくる所ですので、ベストタイムだけで見ればチャンスは多くの選手にあります。4ヒート
目にはホワイト・レッドのオートバックスカラー三浦選手が最初の9秒台である、9秒951をマークしますが、23L4'09.277の記録。しかし、ベストタイムが徐々に出
始めた事で「ミスやアクシデントさえなければ」と言う期待が高まりつつありました。そんな中、5ヒート目に蛍光レッドカラーの及川選手がいきなり25周と言う他を
圧倒するタイム、25L4'07.221、ベスト9秒705で暫定ポールポジションを獲得。2位はホワイト・オレンジ・グリーンの広坂正美カラーを模した千葉(昌裕)選手が23L4'00.502、3位は
ホワイトのカラーの後藤選手が23L4'00.614で続きます。ちなみにこの時点で23周をマークした選手は、16位のホワイト一色のカラー熊谷選手の23L4'16.689、ベスト
10秒280までになります。
F-1グランプリクラス予選1ラウンド目。1ヒート目で先ずはZEN橋本選手が25周のタイムをマーク。記録は25L4'03.930、ベスト9秒365。橋本選手のZENコンバー
ジョンは基本性能が非常に高く、どの様な状況下でも操縦性に優れる印象です。特に難しいとされるストレートエンドの高速コーナーでも抜群の安定感で走行を
しています。しかし、続くヒートでは、Team Bomber、水沢ラジコンのメンバーが更に上を行くタイムで、ZEN橋本記録を更新します。Team Bomber加藤選手は
非常にパワフルな走りで26周をマーク。26L4'05.314、ベスト9秒220で、暫定ポールポジションを獲得。Gスタイルのパワー系で纏められたマシンは、他のマシンを
凌ぐパワーを発揮している模様。続く水沢ラジコンの鴨沢選手もヨコモ系のパワーユニットを武器に、ミス無い走行を重ね、26L4'07.207、ベスト9秒273をマーク。
3位も水沢ラジコンの青木選手が続き、惜しくも26周には届かない25L4'00.044、ベスト9秒364をマーク。この上位3台は走行ラインも無駄が無く、マシンのセットも
大分煮詰まっている様子。3台の差はまだ僅差なので、この後の予選からも激しい争いになる事は間違いないでしょう。
予選2ラウンド目
F-1クラス予選2ラウンド目、1ラウンド目に25周と言う驚異的タイムを出した注目の蛍光レッドカラーの及川選手は、14周目に痛恨のクラッシュによるタイムロスを
して、24周止まりの記録。しかしベストは0.045秒更新し、9秒660をマーク。このラウンドで一番の快走を見せたのは、ホワイト・オレンジ・グリーンで塗り分けられたカラーの
千葉(昌裕)選手。ベテランらしい危な気の無い走行を重ね、24L4'07.813、ベストも9秒台に迫る10秒071をマーク。他にも、ウィリアムズルノー阿部(充芳)選手が自身のタイム
を大きく更新し、24L4'08.270、ベスト10秒043と8位から3位にジャンプアップを達成。ここまでで25周は及川選手ただ一人、24周は5位のホワイトカラー後藤選手まで、
23周は17位のブルー・ホワイトカラーのBMW千葉(伸太郎)選手までがマーク。
F-1グランプリクラス予選2ラウンド目。路面は一段とグリップが上がり、各選手ステアリングワークに苦戦を強いられる中、Team Bomber加藤選手が自身のタイムを
4秒626も更新し、26L4'00.688、ベスト9秒075をマーク。ポールポジション獲得に向けて盤石の展開を見せます。それを追う水沢ラジコンの鴨沢選手は中盤と後半に
若干のクラッシュがあり、タイム更新ならず、それでも26周には入れて26L4'08.984、ベスト9秒189をマーク。まだポールポジション奪取に向けて可能性を残しています。
同チームメイトの青木選手はベストは1ラウンド目と同じ9秒364を出しますが、1周目と中盤でのミスが響きタイム更新ならず。一方、Futaba F-1 Racing木村選手は、出走不能で
遭えなくリタイヤとなります。この水沢ラジコンサーキットはコース幅も狭く、テクニカルなコース。周回遅れのパスもタイムアップの鍵を握ります。しかし、2ラウンド目
を終え、徐々に周りのペースが分かって来たのか、周回遅れ等のクラッシュも少なくなる一方、単独ミスが目立ち始めます。それだけ各選手がアグレッシブにサーキットを
攻めているのでしょう。
予選3ラウンド目
いよいよ最後の予選となるF-1クラス予選3ラウンド目。この前に空の天候が激変し、屋外では大雨が降っています。サーキットの屋根からは大きな雨音が轟き、屋内の
湿度が急上昇。1〜2ラウンドに比べ路面変化が激しいラウンドになる事が予想されます。先ずは最初のヒートではルノーを駆る矢田選手が攻めの走りで自己ベストを
大きく更新。22周に突入し、22L4'08.567、ベスト10秒391で19位に浮上。トップ3の争いは、及川選手、後藤選手、千葉(昌裕)選手がそれぞれこの3ラウンド目にタイムを更新
し、蛍光レッドカラーの及川選手は25L4'07.151、ベスト9秒680でポールポジションを獲得!2位はホワイトカラーの後藤選手で、25L4'09.608、ベストは及川選手よりも
速い9秒621をマークして5位から2位へジャンプアップ。3位はホワイト・オレンジ・グリーンカラー千葉(昌裕)選手、24L4'07.575、ベスト10秒080。4位は阿部(毅)選手で、ミスのない
走りで大きく順位を上げ、24L4'09.029、ベスト9秒967で14位から4位へジャンプアップ。24周には8位のオレンジ・ホワイトのファイヤーパターンの佐藤(康夫)選手
までが入り、非常にレベルの高い予選ラウンドが最後に繰り広げられました。路面の方も湿度上昇による不安もありましたが、タイムには影響ない様で一安心です。
F-1グランプリクラス予選3ラウンド目は、ZEN橋本選手が唯一タイムを更新し、25L4'02.904、ベスト9秒393をマーク。同選手はお昼の練習走行では入念に走り込み、ZENのF104
コンバージョンをセットアップしていた成果がここにきて発揮された様です。しかし残念ながら順位は4位で変わらず。その他の選手はこのラウンドで誰もタイム更新ならず。しかし、Team Bomber加藤選手は
このラウンドで大会最速ラップの8秒933をマーク!これは1/12レーシングにも匹敵するタイムで、Team Bomber F104コンバージョンの底知れぬパフォーマンスを感じさせられました。
水沢ラジコンの鴨沢選手、青木選手は若干ミスが多かった為、僅かにタイム更新ならず。タイムはそれぞれ26L4'00.762、25L4'01.719。それにしてもベネトンカラーで統一された
同チームのマシンはF1RCGP初挑戦にして大健闘の走りです。この後の決勝ラウンドでもTeam Bomber加藤選手に迫れるように頑張ってもらいたいものです。
Team Bomber加藤選手は第4戦福岡Nexter Circuit大会以来今季2度目のポールポジションで、このパッシングし難い水沢ラジコンサーキットにおいては、フロントローの
貴重なグリッドで、優勝に向けて万全の態勢を確立しています。
■予選順位■
F-1クラス
1位 | 及川 靖志 | 3R25L4'07.151
| 2位 | 後藤 信也 | 3R25L4'09.608
| 3位 | 千葉 昌裕 | 3R24L4'07.575
| 4位 | 阿部 充芳 | 2R24L4'08.270
| 5位 | 阿部 毅 | 3R24L4'09.029
| 6位 | 三浦 浩幸 | 2R24L4'09.417
| 7位 | 庄司 良弘 | 3R24L4'09.829
| 8位 | 佐藤 康夫 | 3R24L4'10.304
| 9位 | 駿河 孝一 | 2R23L4'00.996
| 10位 | 末吉 正和 | 3R23L4'01.176
| 11位 | 山本 政和 | 2R23L4'01.929
| 12位 | 佐々木 悠 | 2R23L4'01.965
| 13位 | 大村 誠 | 2R23L4'02.220
| 14位 | 佐藤 正浩 | 2R23L4'02.458
| 15位 | 熊谷 勲司 | 2R23L4'06.637
| 16位 | 伊藤 孝喜 | 1R23L4'08.317
| 17位 | 千葉 伸太郎 | 1R23L4'10.034
| 18位 | 山川 敏宏 | 2R22L4'07.315
| 19位 | 矢田 大基 | 3R22L4'08.567
| 20位 | 石橋 佑介 | 2R22L4'10.826
| 21位 | 宮野 政崇 | 1R22L4'11.217
| 22位 | 岩渕 泉 | 2R21L4'03.808
| 23位 | 重松 隆一 | 3R20L4'10.597
| 24位 | 渡辺 敦 | 2R19L4'04.549
| 25位 | 菊池 博文 | 3R 8L1'36.633
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F-1グランプリクラス
1位 | 加藤 隆史(BOM) | 2R26L4'00.688
| 2位 | 鴨沢 一成(MIZ) | 1R26L4'07.207
| 3位 | 青木 智 (MIZ) | 1R25L4'00.044
| 4位 | 橋本 努 (ZEN) | 3R25L4'02.904
| 5位 | 櫻尾 晋也(SON) | 1R25L4'07.083
| 6位 | 木村 心哉(FUR) | 1R21L3'54.609
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