天気:曇り時々雨、気温:19℃、湿度:80%、路面温度:16℃
F1RCGP2010第9戦の舞台は、トヨタ東京自動車大学校・学園祭内で行われました。初の東京ラウンドに加え、初の特設会場と言うかつて無い
試みで行われた本ラウンドは、事前の台風直撃の予報を覆す程に熱気溢れる大会となりました。
会場となるトヨタ東京自動車大学校は、整備士のプロを養成する専門学校です。大学校と言う名称は、4年間の一貫教育が出来るコースを設けた
専門学校に付けられるもので、「技術を磨け、そして人間性も」を教育スローガンに掲げ、最高の技術と、人としての尊敬の念やチームワーク等の
社会性を育める素晴らしい教育の場になっています。毎年多くの卒業生は、トヨタ系を中心とした企業のサービスエンジニアとして全国に巣立って
行きます。そして、そこで一流の技術を培い、世の中にある自動車の安全性が保たれていると言っても過言ではないでしょう。
学校は1級自動車科、自動車整備科、1級専攻科、研究科の4つに分かれ、国家受検資格をはじめ、様々な資格取得が可能です。学園生活では、
クラブ活動、寮生活も体験できます。また、年間イベントも盛りだくさんなので、学校内外問わず多くの人の交流が生まれます。今回は、そのビッグ
イベントの1つでもある学園際にて、学園内のラジコン部やその他関係者の皆さんにご協力を頂き、この様な機会を頂けた事は誠に喜ばしい事と、
先ず心より感謝したいと思います。
シーズンはクライマックスに入り、F-1グランプリクラスのドライバーズポイント争いは熾烈を極めています。ポイントリーダーはTeam Bomber加藤選手、そして
ランキング2位はALEX RACING Winnersの上林選手です。どちらも2010年シリーズ前半から各地で数々のバトルを繰り返してきたエキスパートドライバー
であり、この東京ラウンドで勝負が決まるかどうか非常に注目を浴びている状態です。また、3位のランキング争いも注目で、ZEN橋本選手、BIG+3 Racing川野
選手が僅差のポイントで争っています。コンストラクターズの方は、ALEX RACING Winnersが優勢で、Team Bomberが追いかける展開。こちらもTeam Bomberの
逆転の可能性があるかどうか、皆から大注目されています。
F-1クラスの方は、都内近県はもとより、遠方からの参加も多数あり、東京大会ならではの盛り上がりを見せました。地元のコースのエキスパート
ドライバーや、1/8GPレーシングカードライバーまで、ドライバースキルもバリエーション豊かで、観戦するにしても非常に見所満載です。しかも、
コンディションは特設、イコール状態ですのでテクニックを競うのにはもってこいの場であると同時に、今回の様に目まぐるしく変わる天候に
運も左右する面白みもプラスされ、目が離せない展開です。学園祭に訪れた一般観戦者も多く集まり(校長先生まで見に駆けつけてくれました)、雰囲気は一気に盛り上がりを見せました。
当日の参加人数は、F-1クラス:18名、F-1グランプリクラス:18名(13チーム)、合計36名のエントリー。天候が心配されながらも
当日は多くの参加者にお集まり頂けた事を嬉しく思います。コース特設で木枠のフェンス、マーカーにより学内の先生や学生が用意してくれたオリジナルの
物です。所々台風の影響で吹き込んできた砂や泥がある若干ダスティーな中粒アスファルト舗装になりますので、このコースを攻略するにはコンディションを
読む力も試されると思われます。バックストレートは広く、インフィールドは若干狭くと、メリハリの効いたレイアウトです。このコースで、F−1東京
ナンバーワンを競う事となります。
会場作り・大会当日
通常であれば前日のプラクティスDayから始まるF1RCGPのイベントですが、今回は様子が違います。前日の練習走行日は当初より予定していなかった
ものの、設営や機材準備は現場で行う予定になっていました。しかし、前日は非常に激しい雨風を伴う台風に見舞われ、手つかず状態。そこで、大会
当日には参加者や学校のスタッフが運営委員と一緒になってコース作り、バナー貼り、操縦台・テント・テーブル設営にご協力して頂きました。また、当日は
Yokomo、TRG、ZENのイベントブースも設営され、Yokomoではドリフトのデモ走行を披露してくれています。
設営も完了し、受け付け、練習走行が始まりました。まだコースは濡れており、路面の上には薄ら砂・泥もある中の超低ミュー路面です。
最初にコースインしたTEAM SONIC櫻尾選手は、この路面と格闘しながらも、コースアウトを余儀なくされ、マシンダメージがあった模様。その後、次々と
各選手がコースインし、数分後にはライン上は若干ではありますが路面もクリーンな状態になり、グリップが上がってきました。しかし、F−1クラスの
パワーでは丁度良いのですが、グランプリクラスのブラシレス17.5Tのパワーではマシンの挙動もまだまだピーキーな様子。慎重なコースの攻めが必要とされます。
スロットルを握り込めないと言うフラストレーションを抱えながらも、グランプリクラスのポイントをリードするTeam Bomber加藤選手、ALEX RACING Winners上林
選手は卓越した操縦テクニックで、マシンの不安定な挙動を抑え込んでいます。周りの他の選手、ギャラリー達は練習走行中から彼らの走りに注目し、セッティングの
方向性を参考にしていた模様でした。この時点の路面コンディションは、ハーフウェット。ゴムタイヤを装着する選手、コントロールスポンジタイヤを装着する選手の
割合はほぼ半分です。一応この先の天候は雨が降らない事を予想し、タイヤのマーキングと支給を進め、運営委員の機材チェックも整いレースへ向けての準備が完了しました。
開会式の頃の空は曇り空、雲はまだ厚い層に覆われている感がありますが、路面はドライになりつつあり回復基調と言う事で、森競技委員長のドライ宣言から始まります。
予選のレース方式は4分間のスタッガー方式と変わりませんが、天候が不安定と言う事でポイント方式を採用。3ラウンド中のベスト2ラウンドを採用するたかちとなります。
また、今回は学園祭の関係で16時30分には完全撤収しなければなりません。スムーズなレース進行への協力を皆さんにお願いしました。その後、ベストルッキングカー
賞の選定、レースマナー等の諸注意がなされ、いよいよレースがスタートします。この特設で天候も読みにくい状況の中、各選手どんな走りをしてくれるのでしょうか。
期待と不安を胸に、東京大会は開幕します。
予選1ラウンド目
F-1クラス予選1ラウンド目、ドライ宣言中と言う事で、皆コントロールドスポンジタイヤでの走行です。先ず1ヒート目でトップを走行したのは、
オレンジ・ホワイトカラーのF-1マシンを駆る古川選手です。まだウェット部分が残る滑りやすい路面にも関わらず、エンジンカーで培った巧みなスロットルワークで
走行を重ね、14L4'16.266、ベスト17秒397の素晴らしい記録をマーク。これはこのラウンドの唯一の14周となります。13周をマークしたのは8名、安選手が13L4'03.504、ベスト
17秒093で2番手タイム。予選中盤にウェットエリアにマシンをスライドさせタイムを落としましたが、トップを狙えるペースで走行していました。その後方は、ホワイト・
レッドラインでカラーリングされたマシン、江田選手が13L4'05.176、ベスト18秒312、フェラーリカラーの伊藤選手、パープル・グリーンで塗り分けられた矢田選手、ピンク・
ブルー・ホワイトカラー石川選手等が続きます。石川選手は去年の千葉・ピットイン大会以来、久しぶりの参戦となります。まだペース配分が掴めていない選手が多いのか、
タイムのばらつきが多い模様。
F-1グランプリクラス、予選1ラウンド目。こちらも1ヒート目からRUSH石川選手が好タイムをマーク。TRG109を駆る石川選手は、鋭いコーナーリング
で後続車を引き離し15周に入れ、15L4'12.685、ベスト16秒084をマーク。15周に入ったのは石川選手を含め、3選手。2位タイムはTeam Bomber加藤選手15L4'16.578、
ベスト16秒130、3位タイムはZEN橋本選手15L4'16.953、ベスト16秒567になります。その後方、4位、5位はTeam Tech F-1の石谷選手、蟻塚選手。TechのF125は路面グリップが
不安定な状況下でも、安定した走行をしていたのが好結果に繋がっている模様。一方、上位に来ると思われていたALEX RACING Winners上林選手は、ヒート直前に祟られた
雨のせいで大幅にタイムを落とし、14L4'16.254、ベスト17秒533で6位の記録。しかし、雨の超スリッピーな路面でのスポンジタイヤ走行を凄まじいテクニックで見事に
ゴールし、Fusion FRF010の走行性能を大いにアピール。ギャラリーからもため息が出るほど素晴らしい走りでした。今後のラウンドに期待です。
予選2ラウンド目
予選2ラウンド目に差し掛かる頃には小雨がぱらつき、路面はウェット状態に変化しました。ここで競技委員長よりウェット宣言がなされ、ゴム系タイヤの
装着が可能になりました。F-1クラス予選2ラウンド目は、1ヒート目出走の古川選手がまたしてもゴムタイヤで自身の記録を大きく2秒147更新し、14L4'14.119、
ベスト17秒328をマーク。このままこのラウンドでもトップタイムをマークし、終わるかと思われましたが、続く2ヒート目でフェラーリカラーの伊藤選手が
終始アグレッシブな走りを見せ、逆転トップタイムとなる14L4'12.366、ベストはここまでで唯一の16秒台、16秒955をマーク。14周はこの2選手のみ入り、13周
の筆頭はホワイト・レッドラインの江田選手、13L4'11.590、ベスト18秒385で、3番手タイムを記録。ウェット路面でどんどんタイムが更新される状況に、各選手
のウェットセッティング能力の高さが窺えます。
F-1グランプリクラス予選2ラウンド目は雨が降り続いている為、各選手のタイヤからは水しぶきがかなり激しく舞う状況。ここで一気に好タイムを出して
トップゴールを果たしたのは、ALEX RACING Winnersの上林選手。先ほどのラウンドで不運の雨によりタイムを落としましたが、今回は別格の走りを見せ、ほぼ
ノーミスで攻め続けた結果、ここまでで唯一の16周に突入。16L4'11.126、ベスト15秒346をマーク!流石グランプリクラスのドライバー、1/3の選手がベストラップで
15秒台を出してきています。この雨の状況では安定した走行が難しく、4分間トータルでタイムを纏めるのが非常に難しい模様。2番手タイムは、Prochemi日比野選手で、
淡々と16秒フラット付近のタイムを刻み、15L4'02.808、ベスト15秒693。3番手はALEX RACING Winners横井選手、15L4'05.678、ベスト15秒727と続きます。
安定性重視のセッティングをマシンに施した選手が上位に浮上してくるかたちとなっています。
予選3ラウンド目
F-1クラス予選3ラウンド目。このラウンドでは、キャメルロータスカラーの和田選手が一気に浮上で2番手タイム。自己タイムを約2周更新し、14L4'05.598、ベスト16秒720を
マーク。和田選手のドライバー人形は中島悟。この雨の状況の中、ラインをきっちりトレースした中島の様な素晴らしい走りでした。このラウンドトップは、前ラウンドの
タイムを更に更新した、フェラーリ伊藤選手。14L4'02.745、ベストは何と16秒155をマーク。伊藤選手のマシンには、防水加工が施されていないと言う事で、かなりリスキー
な状態でしたが、運も味方に付けて完走し、見事ポールポジションを獲得。総合2位はオレンジ・ホワイトカラー古川選手、総合3位はブルー・ホワイトカラー安選手が毎ラウンド
安定した上位ポイントを重ねて獲得するかたちとなりました。
F-1グランプリクラス予選3ラウンド目。このラウンドで満を持してトップフィニッシュしたのは、Team Bomber加藤選手。オレンジ・ブルー・ホワイトに塗り分けられた加藤選手
のF104ボンバーコンバージョンは雨の中でも猛烈な車速でコーナーを駆け抜け、コースレコードとなる16L4'02.862、ベスト14秒384で見事トータルでもポールポジションを獲得!
総合2位はドライでもウェットでも今回は驚異的に安定した走行を重ねたRUSH石川選手。総合3位にジャンプアップしたのは、このラウンドでグランプリクラス初参戦ながら見事な
攻めで2番手タイムをマークしたTeam Tech F-1石谷選手、16L4'04.803、ベスト14秒895となりました。シリーズポイント逆転を掛けたALEX RACING Winners上林選手は、総合4番手。
やや苦戦したグリッドながら、決勝での勝負強さには定評があるのでまだ勝利へのチャンスは十分あります。ポイントが掛かったグランプリクラスは、この後の決勝ラウンドで
どの様なドラマが待ち受けているのでしょうか。非常に楽しみになってきました。
■予選順位■
F-1クラス
|
|
|
|
F-1グランプリクラス
| | 合計 | R1 | R2 | R3
| 1位 | 加藤 隆史 (BOM) | |
|