F1RCGP レースリポート


第8戦 F1RCGP2013 in USA
TQ RACE WAY 2013年8月17日(土)


天気:晴れ(屋内)、気温:29℃(84.2F)、湿度:37%、路面温度:30℃(86F)

 F1RCGP2013 Round8 in USAが、8月の日本で言うお盆休みの後半に当たる、17日の土曜日に、アメリカ・カリフォルニア州・チノ市 にあるTQ RACE WAYで開催されました。チノ市はロサンゼルス国際空港(LAX)から東に約90Kmの所です。空港から車でフリーウェイを使い、 1時間程の場所になります。アメリカは1/10スケールF-1シリーズレースの元祖とも言うべきメッカで、アメリカ最大のF-1シリーズである UF1シリーズ(Ultiate F1)が世界的に知られています。UF1の発足は、2009年の夏、チャールズ・ライトフット氏(Mr.Charles Lightfoot)の 立案により、仲間同士のF-1スポットレースから始まり、カリフォルニアを中心とするシリーズレースへと発展し、今に至ります。彼のア メリカでのF-1レースイベントへの貢献度は偉大で、皆さんも知っての通り、世界的なF-1ラジコンブームへとなっています。彼は今では、 UF1の代表の座からは退き、UF1はチャールズ氏の後、トニー氏(Mr.Tonny)、フレッド氏(Mr.Fred)へと受け継がれます。現代表であるフレ ッド氏は、タミヤUSAの一人でもあり、UF1シリーズへのF-1のさらなる普及と、タイヤF104の普及に絶大なる影響を与えている所です。し かしながら、メーカーを問わないオープンF-1のアイデンティティーは受け継がれており、Exotek F-1代表マイク氏(Mr.Mike)も頻繁にイベ ントに参戦するなど、タミヤ以外にも多くのメーカーに注目を浴び、一緒に盛り上げているイベントとなっています。F1RCGPはこのUF1と も良い関係性を持ち、今回はUF1クラスも設定し、アメリカF-1で主流のラバータイヤ+グリップ剤と言うレギュレーションも加え、地元を 含め皆で楽しくレースができるイベントとして、F1RCGP Round8 in USAを開催できた事を心より嬉しく思います。
 開催サーキットは、カリフォルニアでオンロードマニアから絶大な支持を得ている、TQ RACE WAYです。TQ RACE WAYは、2010年オープン のインドア・カーペットオンロードサーキット。代表のショーン・パーク氏(Mr.Sean Park)によるサーキットで、カーペット舗装のハイグ リップ路面が最大の特徴です。コースレイアウトは、コースフェンスを簡単に移動できるサーキット構造の為、容易に変更が可能となって います。今回はF1RCGPオリジナルレイアウトになっており、1/10スケールF-1が思う存分楽しめるサイズとなっています。コースサイドには サーキットショップも隣接されており、パーツや小物からキット、バッテリー、モーターパワーソースに至るまで、ラジコンマニアには納 得の品揃え。消耗パーツが不足した際も頼りになるショップになります。サーキットは普段1/12レーシングが走行している様ですが、F-1の 走行も非常に多く、その次にツーリングと言った感じです。アメリカはオフロードのユーザーが7割を超える市場ですので、オンロードで これだけのファンが集い、多くのユーザーの支持を得ているサーキットは非常に珍しく、貴重な存在と言えます。今後もF-1やアメリカでは まだ認知度が低い1/12GTマシンも新規に初めて頂き、ますますオンロード界を盛り上げて行ってもらいたい所です。
 レース当日の参加人数は、F-1スケールクラス:4名、UF1クラス:15名、合計19名となりました。翌週がタミヤの大会が近所であり、日本 行きのチケットを掛けてのレースとなるので、そこに多くのファンが行ってしまった事や、日本ではお盆休みのハイシーズンと重なり、航空 チケットが非常に値上がりの時期と重なった事で、アジア地区の遠征ドライバーが居なかった事で、参加選手が少なくなったと推測します。 しかしながら、アメリカのゴムタイヤ主流の中で、F1RCGP主流のスポンジタイヤをやってみたいと言うアメリカのF-1ファンもおり、それらの 選手の期待にこのイベントが応えられたと言う事で、人数が少ないながらも、とても内容の濃い大会となりました。中には、ラスベガスから 車で3時間半掛けてこの大会にやってくる選手も居た程です。各選手、ZENのスポンジタイヤを履き、慣れないながらもセッターで削って、グ リップ剤を塗って走行し、思いの他F-1用スポンジタイヤが素晴らしい走行性能を発揮する事に驚いている様子でした。後は、スポンジタイヤ でもっとスケール感を出す事が重要な様で、サイドに白いインクでマーキングするZENオリジナルサービスの事を伝えると、非常に興味深い様 子で聞いているのが印象的でした。また、F104をベースとしたナローサイズのF-1が全体の8割を占める中、スポンジタイヤはフロントがグリッ プしすぎて、コーナーで引っ掛かってハイサイドしやすいのをどう克服するかも今後のスポンジタイヤ普及をするに当り、大きな鍵となりそう です。そして、アメリカの多くのF-1ファンが、F-1が日本をはじめ、アジアの地域で盛んになっており、日本のF-1キットメーカーやサードパ ーティーメーカーのクオリティーの高さを知っており、それらに興味を持っていると言う事が伺え、まだまだ潜在的にも大きな市場の掘り起こ しも期待できそうな雰囲気が感じ取れ、非常に有意義な大会となりました。F1RCGPにとっても、アメリカ開催が実現できた事は、今後のイベン トイメージを高めるのに大きな一歩になった事でしょう。

プラクティスDay
 前日の練習走行日は金曜日と言う事で、サーキットのオープンは午後5時からとなります。アメリカではラジコンを趣味と言う事で完全に割 り切り、ゆったりとした雰囲気の中で、他のラジコンファンとの語らいや、レースとしての非日常的なエキサイティングなシーンを心から楽し める、ハイソなファンが多い様です。夕方には徐々にファンが多くなり、ZENのスポンジタイヤをテスト走行するドライバーも出てきて、セッテ ィング談議に花を咲かせています。ここでは走行の度に、躊躇なくマシンセットを変えて、自分のマシンをより良い状態にしたいと言う、向上 心にあふれるファンが多くいます。車高やダンパースプリングなど、あらゆるセッティングを試み、トライアンドエラーの繰り返しにより、ど んどんマシンセットが各選手進んでいる様です。分からない事は率直に聞き、自分のスキルを上げて行こうとする文化、国民性があるのでしょ う。このシンプル且つ合理的なコミュニケーション能力は見習いたいものです。
 F-1クラスのF103系ワイド・フォームタイヤ仕様のメンバーは、2週間前からその為に練習してきたと言う選手もいましたが、思いの外参加人 数が当日になって集まらない事で、他のUF1クラスに転向する選手の見受けられます。そんな中、F-1スケールクラスで参加しようと一生懸命に セッティングを試みるレッドブルのマシンを駆るチャールズ選手、フェラーリのマーク選手が、コースを周回するたびにどんどんペースが上がっ てきました。今回は、アメリカのラジコン文化として、多くの選手がグリップ剤を常用していると言う事から、グリップ剤をサーキットで指定の グリップ剤であるJack the Gripper SXT3.0と、Sweep Tire Sourceのみ許可し、よりハイグリップな走行が楽しめます。一方では、ハイサイドが 容易に起きる為に、その予防措置のセッティング等を施さなければなりません。フロントキャンバーを減らしたり、キャスター角を細かく調整す る等し、慣れているラバータイヤのペースよりも若干速い所まで持ってきています。タイムは10秒中盤を切る位になります。UF1クラスは、アメ リカのUF1シリーズのレギュレーションに則った格好で190mm幅のラバータイヤのF-1になります。ラバータイヤはPit-ShimizuのF104系のゴムタイ ヤが主流で、コースに非常に良くマッチしています。Pit-Shimizuのラバータイヤは、スポンジ用のF104ホイールの上から貼るタイプのタイヤで、 装着すると片側2mm強ワイドになり、ナロー基準の幅180mmから両側で185mm見ておけばレギュレーション的には問題無い事になります。更には、F 103系をナロー化した場合の185mm+アルファーの限界点を考慮に入れた、190mm幅のルールが基になっており、こちらも非常に考えられたレギュレ ーションです。それでも、主なマシンはやはり、F104系ナローベースのハイノーズボディーが主流です。練習でトップタイムをマークしているの は、UF1でも活躍しているロータスのマシンを駆るアーロン選手、ベネトンカラーのケビン選手で、共に10秒中盤でのアベレージラップタイムを 出している模様。
 練習走行時間を終えると、運営を行うショーン氏と打ち合わせがあり、明日のレースフォーマットの最終確認や、バナー、ラッフル抽選会など が話し合われます。最終エントリーは、明日になって蓋を開けてみないと分からないとの事。運営側としては不安も入り乱れますが、人数よりも 明日各選手に充実したレースを味わって頂きたいとの思いで最後の準備を行いました。アメリカではフォーラムを参加告知にしているケースが多 い様で、今後Webエントリーシステムを紹介できればもっと選手に分かり易い告知ができる事でしょう。F1RCGPAも今後色々な新システムを導入し て行かなければなりませんね。

大会当日
 大会当日は雨の少ないカリフォルニアらしく、澄み切った空が見られました。外は風もなく、屋内のTQ RACE WAYはショーン氏により外壁のシャ ッターが全部開けられ、太陽の日差しがカーペットに注いでいます。屋内でも屋外の様な清々しい環境が得られ、非常に心地良いです。もっと気温 が上がった時に備えてか、コースサイドには、大型のクーリングファンが設置され、ドライバーやお客さんへの配慮がなされています。そんな中、 レースエントリー、受付が始まり、コースはエントリーを終えた選手の練習走行が始まります。受け付けは、UF1の発起人であるチャールズ氏の奥様 である、敦子様(Mrs.Atsuko)のご協力によりスムーズに行われます。コースはZENのスポンジと、ラバータイヤの混走になっています。通常であれば、 スポンジとゴムタイヤの混走状態は路面グリップが上がりにくいとされていますが、TQ RACE WAYはみるみる路面グリップを上げ、昨日までのベスト ラップを更新してきている選手が早くも居る様です。朝の練習走行後は、簡単なコース整備と、大会開会式、写真撮影、ベストルッキングカー賞へと 滞りなく進行します。その後、競技委員長且つコースオーナーのショーン氏より大会概要の説明、レギュレーションの内容確認があり、放送委員長の ジョニー氏(Mr.Johnny)の司会の下、F1RCGP Round8 in USA TQ RACE WAYが開幕となります。


予選1ラウンド目
 F-1スケールクラス予選1ラウンド目。このクラスは4分間のベストラップの争いとなります。グレーのカラーに赤いラインがワンポイント、マクラ ーレンをモチーフにした様なカラーリングのカルロス選手(Mr.Carlos)選手が早くも路面グリップのアップによるハイサイドをする中、フェラーリカラ ーのマーク選手(Mr.Mark)が弱アンダー気味のセットで淡々と周回を重ね、10秒中盤のタイムを出します。その後、カルロス選手のマシンが路面からの グリップ剤の影響か、徐々にマシンの動きがオーバーステア気味になるのを上手くコントロールし、暫定ポールタイムとなる10秒533をマーク。2番手 はレッドブルカラーのチャールズ選手(Mr.Charles)で、レース中盤に出した10秒566のタイム。チャールズ選手は後半に掛けてマシンの挙動が不安定に なり、後半のタイムが伸び悩んでいる模様。3番手はイエロー・ブルーのロータスをモチーフにしたようなカラーリングのマット選手(Mr.Matt)の10秒 654、4番手はカルロス選手、10秒905と続きます。
 UF1クラス予選1ラウンド目。UF1クラスは4分間の周回レースで競われ、前のラウンドのタイムを元に次のラウンドの組み合わせを毎回変える方式 です。先ず1ヒート目、サーキットオーナーでもある、メタリックグリーのカラー・ショーン選手(Mr.Sean)が、序盤からハイペースで走行を重ね、22 L4'01.639、ベスト10秒566でトップゴール。総合では6番手のタイムを出します。続くヒートでは、やや混戦の中、マルボロカラーのマイク選手、グリ ーンのロータスカラー・マーク選手等、激しくトップが入れ代わる中、終始安定した走りが光ったオレンジのカラー・エリック選手(Mr.Erik)が22L4'02. 042、ベスト10秒720でトップゴール、暫定3番手のタイムをたたき出します。そして、最終ヒートでは、ベネトンのケビン選手(Mr.Kevin)がペースが速 いもののハイサイドで転倒する中、ブラックのロータスカラー・アーロン選手(Mr.Aaron)がアベレージラップに勝り、トップゴールし、23L4'07.375、 ベスト10秒464で暫定ポールポジションを獲得。このヒート2番手のケビン選手も1.742秒差で23Lに突入し、総合でも2番手のタイムをマーク。ベストは 10秒435と一番速いので、続くヒートでは更なるタイムアップが期待できます。

予選2ラウンド目
 F-1スケールクラス予選2ラウンド目。気温が上昇し、路面はグリップ剤が乗ってきて、マシンの挙動はオーバーステア気味になってきました。真っ先 にタイムを出してきたのは、フェラーリ・マーク選手(Mr.Mark)ですが、コーナーリングスピードが上がった為か、ややインリフトをしている様で、思い っきりコーナーを攻められない様子。ここにきて、マシンのセットを細かく煮詰めて素晴らしい動きを見せているのが、レッドブル・チャールズ選手( Mr.Charles)、1ラウンド目のタイムには及ばないものの、10秒611を出し、このラウンド一時トップタイムをマーク。しかし、再びフェラーリ・マーク選 手がアグレッシブなライン取りで果敢にコーナーを攻め、10秒551のヒートベストを記録。暫定ポールは、依然同じマーク選手が1ラウンド目に記録した10 秒533。マーク選手がどの様な状況下でも確実にタイムを出してきています。
 UF1クラス予選2ラウンド目。組み替えもなされ、先ず1ヒート目には若干7歳のホワイト・ブルーのカラー・ジャコブ選手(Mr.Jacob)がややリアグリッ プが軽いマシンを上手くコントロールするも、16周でレースを終えます。このヒートでトップタイムは、ベテランの安定した走りが際立った、レッドブル・ ダグ選手(Mr.Doug)、21L4'10.876、ベスト11秒155をマーク。続く2ヒート目では、グリーンのカラー・ビル選手(Mr.Bill)が、周りの殆どのマシンがハイサ イドで消える中、切れのある走りでハイサイドを押さえ込み、何と23周に突入。23L4'07.692、ベスト10秒572で、総合でも3番手にジャンプアップ。そして、 最終ヒートでは、ベネトンのケビン選手(Mr.Kevin)が、先ほどの悔しいミスを取り戻す素晴らしい走りでトップゴール。23L4'05.857、ベスト10秒418で逆転 の暫定ポールタイムをマーク。同ヒートのロータス・アーロン選手は途中まで良いペースで走るも、僅かなミスでクラッシュ&スタックを期し、2番ゴール でした。各マシン、路面グリップが上がり、ロール量が増えてきています。ロール量を抑えたセットアップが今後のラウンドでのポイントとなるでしょう。

予選3ラウンド目
 F-1スケールクラス予選3ラウンド目。路面グリップはピークを向かえる中、タイムアタックが開始されます。やはりこのラウンドでも軽々と10秒中盤の タイムを出してきたのが、フェラーリ・マーク選手、昨日からスポンジタイヤのセットアップを色々な方法で試してきているせいか、ここにきて更に安定感 も増し、最終的には10秒535でヒートトップタイムをマーク。これにより、1ラウンド目のタイムが生きて、マーク選手のポールポジションが確定。2番手は、 イエロー・ブルーカラーのマット選手と、レッドブルのチャールズ選手が何と10秒566で並びます。お互いにかなりドライビングスタイルが違うものの、同タ イムを刻み、非常に面白い展開です。結局セカンドベストで勝ったマット選手が2番手を手に入れ、3番手にチャールズ選手が入ります。4番手は、グレーの カラー・カルロス選手。ややスポンジタイヤのマシン挙動に苦戦している感がありますが、決勝は長丁場なので、ドライビングが慣れてきて、上位のチャンス がまだまだある事でしょう。
 UF1クラス予選3ラウンド目。1ヒー目では、ディー親子のバトルが見られるも、全体的には静かなレース。そんな中、レッドブルのダグ選手(Mr.Doug)が また安定した走りでトップゴールを決め、自己ベストをマークしますが、惜しくも総合11番目のタイムとなります。2ヒート目では、各選手等間隔で、非常 に僅差のバトルが繰り広げられます。最終的には最後までペースを落とさなかったマクラーレン・スティーブン選手(Mr.Steven)がトップフィニッシュし、23L 4'09.935、ベスト10秒556で総合5番手にジャンプアップ!3ヒート目は、序盤にベネトン・ケビン選手がトップに立つも、ミスで交代。代わって、ロータス アーロン選手がトップに浮上し、中盤に周回遅れに行く手を阻まれ、何とインフィールドでスタックする等、荒れた展開に。その間、レッドブルカラーのフレ ッド選手(Mr.Fred)がトップに立ち、ポールポジションのペースで周回をカウントしますが、最終ラップにまさかのミス!最終ラップにトップ入れ代わったのは、 グリーンのカラー・ビル選手(Mr.Bill)!トップゴールするも、23L4'06.048、ベスト10秒514。ビル選手は惜しくもポールは逃しますが、総合2番手のタイムを マーク。ポールポジションは、2ラウンド目のタイムが生きた、ベネトン・ケビン選手が決めました。非常にエキサイティングな最終予選レースでした。

■Qualify■
F-1 Scale Class
1位Mark Barden    (FERR-02)1R10.533
2位Matt Siu      (YLBL-01)3R10.566(2nd Best 10.602)
3位Charles Lightfoot (REDB-01)1R10.566(2nd Best 10.611)
4位Carlos Ledezma   (GRRD-01)1R10.905

UF1 Class
1位Kevin Cole    2R23L4'05.857
2位Bill Jeric    3R23L4'06.048
3位Aaron Lane    1R23L4'07.375
4位Fred Medel    3R23L4'09.136
5位Steven Jackson  3R23L4'09.935
6位Erik Shauver   1R22L4'02.042
7位Sean Park     3R22L4'03.417
8位Mike Rydwel    1R22L4'04.069
9位Mark Goldwater  2R22L4'09.178
10位Jeff Bagamaspad  1R21L4'06.877
11位Doug Rebal    3R21L4'06.903
12位Willie Sanvictores1R20L4'14.356
13位Jeremy Dee    2R18L4'03.273
14位Jacob Dee     1R17L4'07.402
15位Alex Movsessian  2R14L2'46.514

決勝に向けて
 予選ラウンドを終え、各選手決勝へ向けて頭を早くも切り替えて、準備を進めています。F-1スケールクラスは100周の周回レース になります。チャールズ選手の計算によると、レースゴール時間は18分を超える事から、非常にエキサイティングなものになるとの 事。グリップ剤も途中で効果が薄れる事も予想し、グリップ剤を塗る時間を長くしたり、バッテリーの確実な満充電、アンプやモー ター、ギヤ比の細かい調整など、同クラスのメンバーは様々な準備を進めている様です。ポールポジションのフェラーリ・マーク選 手は、路面状況を確認すべく、コースインを頻繁に繰り返しています。また、長丁場のレース後に、レギュレーションである車高3m mが確保されるように、最後に車高の細かいチェックをしている選手が多く居ました。UF1クラスは、いつものUF1決勝では、15分レー スを3ラウンド行い、その15分間の中で規定時間(約5秒)のピットストップを2回しなければなりません。しかし、今回はF1RCGPルー ルの決勝8分レース1ラウンドが採用され、1ラウンドのスプリントレースなので、いつもよりも緊張感が違うようです。ラバータイ ヤは性能の温度依存性があり、レース前半と後半ではマシンの挙動やフィーリングに大きな差があります。その辺りをマシンセッティ ングやドライビングの作戦によって、ライバルに差を付けようと、決勝が始まるぎりぎりの時間までコース上では各選手の練習走行が 繰り広げられています。

UF1クラス決勝Bメイン
 UF1クラス決勝Bメイン。スタートは各車綺麗なスタート。トップはレッドブルのダグ選手(Mr.Doug)で、2番手にも同じくレッドブル のウィリー選手(Mr.Willie)。トップのダグ選手は、ベテランらしい慎重なドライビングから次第にインを徐々に攻めて、ペースアップ をはかり、2位以下後続との差はバックストレート1本以上の差になります。2位争いは非常に接戦で、レッドブルのウィリー選手と、 グレーのルノーカラーのアレックス選手(Mr.Alex)のサイドバイサイドの争いがインフィールドで繰り広げられています。そこから少し 開いて、ディー親子のバトルも後方では見られました。一方、トップを走行のダグ選手は、どんどん後続とのアドバンテージを広げ、レ ース中盤には2位を走るアレックス選手も周回遅れにする勢い。ベストは11秒402まで上げて、終盤に差し掛かります。2位のアレックス 選手も何とかトップを狙おうと11秒380のベストを出しながら追いかけますが、結局トップゴールはダグ選手で、2位に2ラップもの大差 を付けての圧倒的な勝利でした。

■Final B■
UF1 Class B Main Final
1位Doug Rebal    41L8'09.470
2位Alex Movsessian  39L8'05.940
3位Willie Sanvictores38L8'11.607
4位Jeremy Dee    35L8'03.390
5位Jacob Dee     33L8'00.349

F-1スケールクラス決勝Aメイン
 F-1スケールクラス決勝Aメイン。このクラスは100周先のゴールを目指す長丁場のレースです。こちらもスタートは各車素晴らしく綺麗にスタート。 トップは、フェラーリのマーク選手(Mr.Mark)、2番手はレッドブルのチャールズ選手(Mr.Charles)、3番手にはイエロー・ブルーのカラーのマット 選手(Mr.Matt)、そして、決勝にきてボディーをレッドブルに変えてきたカルロス選手と続きます。上位3台の間隔はコンマ差の大接戦。そこから1 秒ほど離れて4位走行のカルロス選手が続くかたち。すると、レッドブルのチャールズ選手が他車を巻き込み、ストレート手前でフェンスにヒットし、 クラッシュで後退。トップのフェラーリ・マーク選手はこの間に後続との差を広げに掛かります。レースオーダーは、マーク選手、マット選手、チャ ールズ選手、カルロス選手の順。カルロス選手はインフィールドでミスし、後退しています。トップのマーク選手と2番手カルロス選手とのタイム差 は2.5秒程。マーク選手はコーナーでクリッピングをきっちり取って、真っ直ぐ丁寧に立ち上がると言う、ハイサイドし難い堅実な走りで、2位以下 との差を徐々に広げに掛かっています。その後、これまで後方に沈んでいたレッドブルのチャールズ選手が徐々に追い上げてきて、2番手のカルロス 選手に迫ります。非常に僅差の接戦で、2位争いが数周にわたって繰り広げられます。供にボディーカラーはレッドブル同士で、コースサードのギャ ラリーからは歓声が上がります。カルロス選手は必死のブロックラインでしたが、インフィールド左セッションで、チャールズ選手が上手くカルロス 選手のインに飛び込み2位に浮上。後はトップのフェラーリマーク選手を追いかけます。トップのマーク選手、2位のチャールズ選手との差は3秒程 ありましたが、徐々にその差を詰め、やがてマーク選手の直ぐ背後にチャールズ選手が迫ります。そして、レースは後半戦へ。そして、2位のチャー ルズ選手が、先ほどカルロス選手を挿した正に同じ場所でマーク選手のインに飛び込み、満を持してチャールズ選手がトップに浮上します。2番手の マーク選手は焦りからかミスを連発し、ペースダウン。ここにきて、各車グリップ剤が切れてか、マシンの挙動が非常にピーキーな感じになります。 そんな中、再びトップ争いは僅差になり、チャールズ選手、マーク選手とのバトル。しかし、ここはチャールズ選手が競り勝ちます。その後2位争い はレッド・ブルカルロス選手も加わり、マーク選手はカルロス選手に競り負け、3番手になります。2位にはカルロス選手が浮上するも、ここで、 チャールズ選手が100周終了!レッドブルのチャールズ選手が見事激戦のF-1スケールクラス優勝を決めました。2番手は同じくレッドブルのカルロ ス選手で、結果的にはレッドブル1、2フィニッシュでレースを終えました。また、トップ2台は供にF104+Exotekコンバージョンシャーシだったと言う 事も付け加えておきます。


UF1クラス決勝Aメイン
 UF1クラス決勝Aメイン。スタートは各車一斉のスタートで、縦一列の見事な隊列を成して走行していきます。トップはベネトンカラーの ケビン選手(Mr.Kevin)で、2番手がグリーンのカラーリング・ビル選手(Mr.Bill)、3番手がロータスカラーのアーロン選手(Mr.Aaron)と続 きます。トップ3台は非常に僅差のバトル。4番手は混戦を抜け出し、オレンジのカラー・エリック選手(Mr.Erik)が上がってきます。やが て、トップ争いは、ケビン選手とビル選手のコンマ差の争いに発展。2台の差は僅かコンマ2秒。しかし、ストレートエンドでトップを走る ベネトン・ケビン選手がハイサイドし、コースアウト!大きくタイムロスする間、グリーンのカラー・ビル選手がトップに浮上。2番手は ロータス・アーロン選手、3番手にレッドブルカラーのフレッド選手(Mr.Fred)がジャンプアップしてきます。トップ争いのビル選手とアー ロン選手との差はまだ1秒ほど。すると、徐々に周回遅れが出だします。トップ勢は流石のドライビングテクニックで、周回遅れを次々にパ スし、殆どタイムロスなくクリア。そんな中、トップの走行のビル選手が周回遅れを交わそうとラインを変えた途端にハイサイド!ここで、 今まで2位を走行だったロータス・アーロン選手が満を持してトップに浮上です!レース中盤からトップに立ったロータス・アーロン選手は、 その後も非常に落ち着いた走りでトップを守りきり、見事UF1クラス決勝Aメインの優勝を果たしました。2位はグリーンのカラー・ビル選手、 3位は序盤惜しくも後退した、ベネトンのケビン選手と言う順になりました。トップが目まぐるしく入れ替わるスリリングなレースに観客 からは大きな声援が飛ぶ非常によいレースでした!

■Final A■
F-1 Scale Class A Main Final
1位Charles Lightfoot (REDB-01)100L19'25.075(FL10.704)
2位Carlos Ledezma   (GRRD-01) 99L19'23.079(FL10.736)
3位Mark Barden    (FERR-02) 99L19'26.913(FL10.779)
4位Matt Siu      (YLBL-01) 88L19'16.611(FL10.590)

UF1 Class A Main Final
1位Aaron Lane    45L8'03.663
2位Bill Jeric    45L8'10.024
3位Kevin Cole    44L8'00.563
4位Fred Medel    44L8'09.018
5位Sean Park     43L8'03.308
6位Erik Shauver   43L8'04.309
7位Jeff Bagamaspad  42L8'02.917
8位Steven Jackson  42L8'04.537
9位Mark Goldwater  41L8'01.817
10位Mike Rydwel    41L8'03.342

ポディウム表彰
 レース終了後、各クラストップ3でポディウム表彰が行われました。F-1スケールクラスでは長い100周のレースをペース配分の作戦勝ちで、 レッドブル・チャールズ選手が見事に3番グリッドからの大逆転で優勝。ポールポジションのフェラーリ・マーク選手とのバトルは非常に見 応えがあるもので、ギャラリーからも歓声が出る程でした。UF1クラスは、トップ争いが目まぐるしく変わる中、常に冷静な走りを心掛け、安 定した速さを見せた、ロータス・アーロン選手が優勝。グリーンのカラー・ビル選手が最後まで追いかけますが、結果的には2位に約7秒差で 逃げ切るかたちとなりました。各トップ3の選手はレースが終わり、ほっとした表情で表彰を受け、大会会長の北澤氏より副賞のクリスタルの タテが贈られました。Bメインも含め、各ヒートでの見応えのあるレース、本当にありがとうございました。そして、お疲れさまでした。

ベストルッキングカー賞
 ベストルッキングカー賞には、ケビン選手(Mr.Kevin Cole)のベネトンが選出されました。カラフルな色分けはもちろんの事、ドライバー人 形も細部まできっちり塗られており、非常に目を引くマシンに仕上がっていました。ケビン選手は、UF1シリーズにも定期的に参戦し、愛称パ ンダ(Panda)として皆から人気がある選手です。リアリティー溢れるF-1カー製作を通して、これからもどんどんF-1の色々な楽しみ方をアメリ カで伝えていって欲しいものです。今後も皆さんの力作を、お待ちしています。

全体表彰・抽選会
 大会の最後は全体表彰式並びに大抽選会です。アメリカではラッフルと言うくじ引きアイテムを用い、景品の抽選会を行います。通常、F1RCGP では参加クラス数に応じた抽選割合ですが、ラッフルでは券を5枚から10枚程度参加者に均等に配り、そこに書かれた番号で景品を獲得できるシス テムです。抽選番号が多くなる事から、ハズレくじを前提とした確立変動式の抽選会となるわけです。通常の景品はキット1台とか、大物2,3点 を抽選するそうです。確立を上げるために、1枚1ドルで買い足しも可能だそうです。F1RCGPでは景品点数が多いため、いつもなら空くじの人が大 半の所、ほぼ全員が景品を獲得したようで、各選手大変喜んでいました。そして最後に、競技委員長且つコースオーナーのショーン氏より総括があ り、F1RCGPアメリカ大会成功を祝して各選手から温かい拍手の下、F1RCGP Round8 in USA TQ RACE WAYが閉幕となりました。皆様本当にありがとう ございました。

F1RCGP大会主要機材データ
 F1RCGP大会データになります。マシン、プロポ、アンプ、バッテリー、F-1グランプリクラスモーターのシェアと、全員の参加選手州名、年齢別、 そして男女比です。 次回参加される方、遠征される方等、参考になさってください。 次回行われる予定のF1RCGP2013 Round9は、9月1日(日)山口大会 Joren's Speed Wayです。山口県初のF1RCGPとなり、この地域のF-1ファンに も大いに楽しんで頂ける大会になるものと期待しています。まだ残暑の残る中での屋外コースになりますので、暑さ対策、熱中症対策を忘れずに、 皆さんお誘いあわせの上お越し頂ければ幸いです。

カーシェア
プロポシェア
アンプシェア
モーターシェア
バッテリーシェア
参加選手州名
年齢層
男女比

謝辞
 本大会に参加された選手の皆様、そしてサーキットをお貸し頂いたサーキットオーナーのショーン様、運営をお手伝い頂いたジョニー様、受 付やビデオ撮影でご協力頂いた敦子ライトフット様、多くの協賛品のご協力を頂いたサポートメーカーの皆様、特に今回はF1RCGP公式タイヤス ポンサーであるZEN様、本当にありがとうございました。お蔭様で無事にアメリカ大会を開催する事ができました。これを機に、世界各国のF-1 ラジコンファンの皆様に喜んで貰える様に精一杯頑張る所存ですので、今後とも応援宜しくお願いいたします。